祝!「第8回 東山魁夷記念 日経日本画大賞展」入選!須惠 朋子さん

ONVOdeART(オンヴォデアート)で取り扱い中でかつ「ONVO SALON×Gallery Pepin-今月の一枚」で2021年7月に2度目の登場となる、(株)ものくり商事×Gallery Pepinとご縁の深い画家・須惠朋子さん。

先日、日本画の伝統を継承し次代を担う新進気鋭の日本画家が選出される「第8回 東山魁夷記念 日経日本画大賞展」に入選されました!

入選を記念し、アーティストになるまでの経緯や、今後の展望についてインタビューしました。
(インタビュアー:Gallery Pepin 小林 優佳)

 

 

 

1.アーティストになるまで

━ 美大に行くことを決めたのはどのような経緯でしたか?

小学校の時は図工の授業と図工の先生が大好きでした。熱が出ても図工の時間が終わるまで黙っていて、図工の授業が終わってから保健室へ行くような子でした。学校の図工の時間を毎週楽しみにしていたのをよく覚えています。

━ 中学生の時は美術部だったのですか?

中学生のときも教科の中では美術が一番好きでしたが、美術部ではありませんでした。ボランティア部に入って、最初は美術系に進むか福祉系に進むか悩んでいました。でも中学の後半には美術に行こうと決めていましたね。
美術系の高校に行きたいと思っていて、けど両親には「高校は普通の都立に入りなさい。そうすれば、美大予備校や美大に行ってもいい」と言われて、都立高校から浪人を経て、美大に進学しました。

━ そして美大に入って、ひたすら描いていたと以前にお聞きしたことを覚えています。

そうですね、もう美大はなんていいところなんだろうと。すべて美術に関することで、学科も面白かったし実技も半日あって。卒制のときなんかは朝から大学へ行って、学校が閉まる時間まで描いていました。

━ 没頭できて、念願の美大ライフだったんですね。大学卒業しても、描き続けるのは当然というイメージだったのですか?

そうですね、大学院にも行って、そのあと研究室に雇ってもらって。大学入った頃からずっとやっていくだろうという感じでした。

━ あえて「画家になる」とかではなかったんですね。自然な流れで。

予備校講師に「絵描きさんみたいだね」と作品のことを褒められてすごく嬉しくて、「もう絵描きになるつもり」みたいなのはありました。

━ 結婚しないと決めていたけどご縁があって、ご結婚されたり、お子さん産まれたり、でも「画家なのが須惠朋子さん」ですよね。

まだ新婚時代に住んでいたマンションの6畳に150号(横幅 約227cm)の大きな作品を持ち込んだ時、夫がすごく驚いていて。大きい作品を作っていることは知ってはいたけど、家に入ると巨大で「家で描くんだ?!」みたいな。でも押し切って刷り込んでいって・・・(笑)
結婚するときに「絵を続けてOK」と言ってくれる人と決めていました。親に結婚しないと言ったら「人並みに結婚しなさい」と言われて、でも「人並みってなんだ」みたいに思ってました。(笑)
「サポートして欲しい」とか「スポンサーになって欲しい」とかではなく、とりあえず「描いてていいよ」という容認してくれる感じがいいですね。

 

2.今後のVISION/withコロナ時代にアーティストとしての生き方

━ 今後のVISION/withコロナ時代にアーティストとしての生き方

描き続けることは変わらずで、あまり描いてない時期が続くと精神衛生上よくなくて。やってるほうがいいのかな。

━ どんなに忙しくても?

忙しいのもだいたい絵の仕事ことなんです。

━ それは素晴らしいことです!!

コロナのニュースばっかりでなんとなく不安な気持ちになったりして、そうなると描いているほうが落ち着くというのはありますね。
私は岩絵の具がすごい好きで、色がすごいキレイで日本画にいこうって決めたんですよ。あと砂を触って、そういう行為が砂浜に行くみたいな自然と触れ合うみたいな、そういうツブツブを触る行為も好きなのかもしれません。

━ それはお聞きしないとやはりわからないですね。下地とか本画に入っていなくても、絵の具に触れるから気持ち良いわけですよね。

そうですね。白い紙にバッと塗る。泥に染料で着彩した水干絵具って言う絵具があるんですけど、その水干絵具を下地に塗ったりするんです。溶くときにツブツブがなくなるまで結構時間がかかるんですけど、30分以上皿の上でこうやって・・・修行のように・・・けどその時間が絵を見ながら考えたりとか、ちょっと自然と触れ合ってる感じというか。

━ 鑑賞者はそのお話しと海を感じる絵とつながるイメージになります。海を描いてないときも同じだとは思うんですけど。

そうそう、そうですね。もともと大学のときから自然を描いていて、以前は根っこのシリーズ・木のシリーズとか。根底は自然と人、自然と自分との根源的なつながりが一番ずっと思っている大きいテーマなんです。その中でここ7~8年は久高島なんです。

━ 「コロナ時代に」というテーマを入れてみたんですけど。

自粛しているときに散歩して、そしたら近所が意外と田舎だったりとか発見があって、そういう自然から感じる心は持ち続けなきゃいけないと思って。
ウェブとかオンラインとかデジタル時代になって代替えできることもあるけど・・・早く島に行きたいし(笑)、実際触ったり感じたりするっていう心はずっと大事にしていかないといけないと思いますね。

━ 家から出られないからこそ、なおさら感じたわけですね。

 

3.作品のインスピレーション

━ 現在モチーフとされている久高島へ行った時ってどんなことをして過ごされているんですか?

なんかこう、ふらふらしてます(笑)スケッチして、海で寝っ転がったり、芝生で寝っ転がったり、朝日を見に行ったり。2020年の1月に久高島に一人で初めて行ってきたんですけど(それまでは毎回息子と一緒に行っていました)、行動に制約がなくて、朝日を見て、昼寝をして、夕日をみて、と自由に過ごしました。

━ スケッチして描き止めてはおくんですか?

描きますけど、最近はあまり描いていないかな。眼と身体に記憶したいので、そのためにちょっとメモとかスケッチとかをします。

━ 今の時点では久高島行けないとなると、描けなくなったりしますか?

瞑想とかしつつ、久高島のことを思い出して、つながっている気持ちになって描いています。
スケッチとか資料、写真を見返したりして、描きます。でも、長く行けなかったら描けなくなったりするのかなぁ?!

━ 須惠さんの作品は風景として見られる場合が多いと思います。今回お聞きしていて思ったのですけ が、須惠さんご自身の「久高島の海や自然とつながっている感じがする」という、風景でもあるけどその先の精神性のようなところまで作品に込められたらとか考えていらっしゃいますか?

そうそう、そうですね。水平線のシリーズは東の海を描いています。ニライカナイという理想郷が東の海の向こうとか海の底とかにあると沖縄では言われていて、人はそこから生まれて死んだらそこへ帰ると、そういう風に言われていて。
そこの海の先に、ご先祖様や亡くなった母親を見るというか、そこでつながれるようなイメージというか自然ともつながるんだけど、ご先祖様とも心が通じるような場所というか、そんなイメージになっているかな。だから海はほんとにずうっと見てる。日焼けだけ気になるけど、ほんとにずうっと見てますね。

 

4.制作するときに欠かせないもの・こと

━ 制作するのに欠かせないものやことは、画材以外でありますか?

だいたいアトリエへ行って、制作前には瞑想してます。瞑想で久高島とつながっているイメージになると、テンションが上がります。頭もスッキリします。

━ 共同アトリエで集中できますか?

意外とみんな制作時間がバラバラでアトリエにいないんですよ。いてもそれぞれイヤホンしたりして音楽聴きながら制作していますね。私もですけど。

━ それは気持ちを落ち着けるためとか久高島の記憶やイメージを思い起こさせるためですか?

両方ですね。普段の生活とアトリエに来たときとの切り替えもあるし。家で描いていたときは切り替えがなくて、洗濯機が鳴ると集中が途切れたりしていました。だから今はアトリエがあるのでそういうのが無くて、行けば切り替わるんですけど、そこで頭をスッキリさせて制作する準備というか、制作するぞ~って感じで久高島を思い出して、「あ~早く行きたいな~」とか最近は思っちゃうけど(笑)それで波の音とか自然の音とかの音楽を、瞑想のときも描く時も聴いてます。
あまり瞑想していることを話してないので恥ずかしいんですけど、瞑想して心を沈めて、無になって、自分の中心を確認するというか、ここにいるというか。情報とかいろいろなことで頭がいっぱいになって、身体がここにいないみたいな感じでフワフワしているときがあって、そうなるとちゃんと想いを絵にのせられない感じがしてしまうので、集中するために。
あと久高島とつながる感じになって、「描かせて頂いてありがとうございます」と久高島の神様に感謝もします。久高島に行った時にはその神様に必ずお参りしに行きます。

 

5.影響受けた人(アート系に限らず)

━ では最後にアート系に限らず影響を受けた人はいますか?

私は三岸節子さんが学生のときから好きでした。初めて見たのは銀座のデパートでの展示だったんですけど、パッと見たときの衝撃が凄かったんです。

━ それは作品と共に、生き方とかもですか?

三岸節子さんの自伝書の「花こそわが命」というのがあって、大事にしている本なんです。その本の中に描かれていた「生きた・描いた・愛した」という文章が凄いと思って。なかなか大変な人生だったみたいで、強い女性・強い魂みたいなものを絵から感じて衝撃を受けました。特に自分が波乱万丈に生きたいというわけではないんですけどね(笑)
あとは小学校の時の図工の先生ですね。今もお付き合いがあるんですけど。すごくおしゃべりな男の先生で、近年は、インドなどに行って取材したものを描かれている方です。

━ 教員時代も絵を描いてた先生だったんですか?

そうですね。地元で発表してたりとか、私の好きな先生は作家さんなんです。小学校と高校の先生が好きだったんですけど、高校の時の美術の先生は今でも彫刻家だし、小学校のときの図工の先生は旅しながら絵を描いてるような人です。その図工の先生はとても面白くて、図工が苦手でも先生が好きって子が多くて。その影響もあって図工の先生になりたいという時期もありました。子供も好きだったから、今は子ども向けの造形教室もやっています。
須惠さんの主宰するアトリエてんとうむしはこちら
http://tsue.sakura.ne.jp/tentoumushi/

━ アーティストは制作だけではなかなか食べていけないから、別のお仕事をしているわけですけど、 須惠さんのお教室はそのためにやってる以上の気持ちがやはりありそうですね。

どうせやるなら好きな仕事をって思ってますね。子供たちにも言ってます。
大学院生の時から児童館でアルバイトをしていて、子供たちと遊んでいるだけでお金がもらえるなんてなんていい仕事!!とか思っちゃって。最初はお教室はじめても赤字でしたし、責任もあるから大変なんですけど、でも、絵とお教室の両方やっていて良かったと思っています。今コロナ時代で、絵だけやっていて、もしそこが断たれちゃった時に、精神的にガタガタしたかもしれないと思っています。

━ お忙しい中、お時間を頂きありがとうございました。今後の須惠さんの益々のご活躍、期待しております。

 


「ONVO SALON×Gallery Pepin-今月の一枚」で須惠さんの個展を以下の日程で開催します。

会期:2021年7月1日(木)~29日(木)10:00~18:00
会場:ONVO SALON URAWA (入場無料)
 ONVOdeART(オンヴォデアート)でも取り扱い中・購入可能です。

ONVO SALON URAWAのスペース利用について→

ONVO SALONのイベントについて→

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ONVO SALON URAWA
(オンヴォサロン浦和)

営業時間 10:00~18:00 不定休

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